技術ハイライト Technology highlights
自治体向けのインフラ統合管理ソリューション「長寿郎」は、道之助や長寿郎シリーズで収集した維持管理情報と連携し、財政・防災など横断的に必要な情報を集計、管理できます。
自治体が管理する社会基盤施設(土木インフラ)は、その多くが高度経済成長期に整備され、今後大量に更新時期を迎えます。さらに、人口減少等により、今後の公共施設等の利用需要は変化していくことが予想されます。
一方で、地方公共団体の財政は依然として厳しい状況にあり、老朽化が進むこれら施設を安全かつ長期的に維持して行くためには、点検から中長期予算シミュレーションまで、対象となる管理施設全体の最適化を実現できる、統合的な支援システムが求められています。
当社では、長寿郎(道路施設統合管理システム)を中核としたインフラ維持管理支援システム群により、こうした課題に対応します。
インフラ統合管理ソリューションへの取り組み
当社は、インフラの維持管理分野のICT化に早くから取り組んでおり、2004年の「橋視郎」(橋梁点検支援システム)発売、2008年の「長寿郎/BG」(道路橋の長寿命化修繕計画策定支援システム)発売、2013年の「道之助」(道路構造物マネジメント支援システム)発売など、ニーズに合った製品をタイムリーに投入してきました。
対象構造物についても、橋梁や道路附属物だけでなく、港湾施設(長寿郎/HB)、農業水利施設(長寿郎/AG)、漁港施設(長寿郎/FP)、河川用ゲート(長寿郎/GT)、公園施設(長寿郎/PK)など、自治体管理のさまざまな施設に対応してきました。
そのような中で、インフラ施設の老朽化が社会的にも注目されるようになり、「長寿命化修繕計画策定事業費補助制度要綱」(国交省:2007年度)に代表される各種支援施策によって、個々の施設に対する計画的維持管理は大きく前進しました。
一方で、自治体管理施設の全体像を把握し、長期的な視点をもって最適な予算配分を行っていくためには、施設担当部署の枠を越えた、統合的な管理が求められています。
当社では、このような背景から、個別構造物のシステム化の経験を活かして、早くからインフラの統合管理ソリューションの開発に取り組み、2006年度には東京都道路アセットマネジメントシステムを開発し、さらに2016年12月には大阪府都市基盤施設維持管理DBシステムを受注※1しました。
今後は、こうした先駆的自治体での実績を基に、全国100ヶ所以上に上る長寿郎シリーズ導入自治体に向けて、統合化の支援活動を進めてまいります。
イメージ図:大阪府都市基盤施設維持管理データベースシステム
「長寿郎 道路施設統合管理システム」登場
当社では、これまでのインフラ統合管理ソリューションへの取り組みの成果として、全国の自治体に迅速に展開できるよう、道路施設統合管理システム「長寿郎」(ちょうじゅろう)を開発しました。
本システムは、クラウド上のデータベースシステムで、ウェブ地図上での施設管理、各種諸元、履歴管理のほか、公会計に関連した資産情報管理、発注業務支援の機能も装備しています。長寿命化計画策定にも対応し、自治体の道路施設マネジメントを支援します。
長寿郎:施設位置情報の地図表示画面
また、当社の「長寿郎/BG」(道路橋の長寿命化修繕計画策定支援システム)、および「道之助」(道路構造物マネジメント支援システム)と連携して、施設情報や事業計画を取り込むことができます。その他のシステムで作成した施設情報や事業計画は、指定のExcelテンプレートを用いて取り込めます。
長寿郎:各構造物用専用システムとの連携
全ての施設管理の統合化へ向けて
今後は、道路橋や道路附属物だけでなく、当社の長寿郎シリーズとの連携を拡大し、漁港、農業、港湾、公園、河川など、幅広い施設を対象としたインフラ統合管理システムを目指していきます。 これにより、効果的で持続可能な維持管理のサイクルを作り、自治体の予算や人員などの効率的な運営に広く貢献していきます。
インフラ統合管理ソリューションの将来構想